コワーキングスペース経営は儲かるのか?新規開業と需要動向について考察

1 コワーキングスペースの創業者が増加している件

 

鎌倉のコワーキングスペースことkama.の管理人、中小企業診断士の高久です。

コロナ禍ということもありコワーキングスペースの創業者が多すぎる点について、中小企業診断士として、経営コンサルタントとして、記事を書いてみたいと思います。

高久は中小企業診断士として、経営コンサルタントとしての活動がメイン事業となっています。2003年に中小企業診断士として登録し、これまで2000社ほどの経営支援、創業支援をして参りました。

一方で、2017年8月に、鎌倉にコワーキングスペースことkama.を開業しました。その後、2018年に鎌倉市大船でシェア工房とバイクガレージものkama.を開業しました。さらには、産後ヘルパー株式会社の取締役としても経営に携わっています。

本業はあくまでも経営コンサルタントですが、事業家としても当然ながら本気で経営しています。

 

その経営コンサルタント活動の中で、コワーキングスペースの立ち上げや経営サポートがこれまで10件ほどありました。

高久が築いてきたノウハウを、商工会や商工会議所、中小企業支援センターなどの予算によってサポートする創業支援制度や経営支援制度です。当然ながら、対象の事業者は金銭的な負担はなく、サポートが受けられる制度です。

よって高久としましては、経営コンサルタントの仕事であるため、依頼があればノウハウを提供してきました。ただ、ノウハウを提供したからといって、簡単にコワーキングスペースの創業や経営ができるとは言えません。よって、多くのノウハウや情報を開示してきました。

しかし、最近とくにコワーキングスペースの創業者があまりにも多くなりました。事業再構築補助金の事業例でもコワーキングスペースの事業転換が事例として紹介されているぐらいですから。

これまで、事業者に提供してきたノウハウは、例えば以下のようなものです。

・設備投資と回収スピードの関係について

・ランニングコストの考え方

・競合分析のポイント

・集客方法

・絶対に赤字にならない方法

・限りなくリスクを下げる方法

・収益性と経営効率の限界

などなど。

 

そこで今後の対応ですが、これまで通り、コワーキングスペースの創業、事業化支援の依頼があれば喜んでやらせていただきますが、北鎌倉や大船など私の事業の商圏内の場合は、直接競合することになりますので考えたいと思っています。

ちなみに、いきなり「コワーキングスペースを立ち上げたいので、話を聞かせてほしい」「相談に乗って欲しい」というメールでの問い合わせをいただくのですが、これについては全てお断りしています(当たり前ですが)。

 

2 コワーキングスペース経営は儲かるのか

大企業や大資本のコワーキングスペースは除外し、中小企業や個人事業主のコワーキングスペース経営は儲かるのかどうかの結論です。

結論は、儲かっているところは儲かっている。儲かっていないところは儲かっていない!です。当たり前ですが、本当です。

 

儲かっているコワーキングスペースは、次の要件を満たしているところです。

1)利用者にとって魅力があり価値があるコワーキングスペースであること

・立地(利用しやすい駅から徒歩5分以内)

・リーズナブルな価格設定

・居心地の良い空間、ドリンクなどのサービスの充実

2)ランニングコストが低いこと

・家賃、運営人件費が大半を占めるランニングコストは低いほど収益性が上がる

・ちなみにコワーキングスペースことkama.はランニングコストはゼロに近いです

3)HPやSEO対策などが万全で集客力があること

・当たり前ですが重要です

4)利用者が安心して利用できる運営方法

・非常に重要なノウハウです

 

この要件を満たしていないところは、儲からないと思います。

では、コワーキングスペース経営はどのぐらい儲かるのか、ですが、30坪ぐらいのコワーキングスペースの場合だと、1件の経営で1家族が暮らしていくのは厳しいと思います。人件費ゼロ、家賃ゼロなら可能性はありますが。。。

 

 

3 今後のコワーキングスペースの今後の市場動向

 

コロナ禍において、テレワーカー、リモートワーカーの増加により、コワーキングスペースの需要はそこそこ増えました。そしてコワーキングスペースの利用者が「自分もやってみようかなあ」という軽いノリで参入された方が多いのと、コロナ禍によりオフィス需要の減少により不動産事業者がたくさん参入してきました。さらに紳士服AOKIのような異業種からの参入も激増しています。もちろん鎌倉市内にもここ数年で多くのコワーキングスペースが誕生しています。

マーケットはどうかというと、従来のコワーキングスペースは過剰供給になってきているような気がします。またコロナの収束とともに需要はさらに落ち着くように思います。つまりは再び淘汰が始まるということです。

すでに、コロナ前においても、渋谷や一部の地域では淘汰が始まっていました。大手や資本力がある事業者が、設備投資を惜しむことなく、とても魅力的なコワーキングスペースをすることで、中途半端な事業者の顧客離れが起きるという現象が生じていました。コロナの収束により、これが一気に再燃する可能性があると思います。

一方、ニーズはさらに多様化し、従来とは異なるオフィス需要が増加する傾向があります。たとえば、大企業が本社オフィスを縮小し、地域にサテライトオフィスを点在させるとか、そのサテライトオフィスを自社で持つこともあれば、コワーキングスペースと契約するなども出てきているようです。

鎌倉のコワーキングスペースことkama.の掘りごたつ部屋

鎌倉のコワーキングスペースことkama.の掘りごたつ部屋

以上から、コワーキングスペース事業の参入を考えてる方々は、立地、投資額(規模とタイミング)、運営方法、競合分析をしっかり実施したうえで判断されることがこれまで以上に重要となります。

ビジネスは、市場や需要が拡大し、参入障壁が低ければ、異業種や同業種からの参入が激増します。しかし市場や需要が縮小すると、弱いところから撤退を余儀なくされたり、撤退しても経営が傷まない大手や異業種、不動産業などは簡単に撤退します。

一方、命をかけて参入した小規模企業や個人事業主にとっては死活問題となります。少資本での運営はとくに厳しくなることが予想されますので、事業化は慎重に判断することが重要です。

 

ちなみに、高久も2号店を検討した時期がなんどかありました。最近も物件を探したり競合分析をしてみたのですが、コロナ禍のタイミングでは判断が難しいと思い今は静観しています。

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